明治35年(1902)7月10日、宮城県仙台市に生まれる。
大正9年(1920)東京府立八王子織染工業学校専門科を卒業。以後、父甲田陸三郎、及び当時優れた技術者であった佐山萬次郎について厳しい指導を受け、大正12年(1923)、20才で甲田機業場を継承した。
戦後の企業整備など幾多の困難や苦境を乗り超え、 の伝統を支え、昭和31年4月、重要無形文化財保持者として認定される。
この栄誉に応えて、榮佑はその伝統の保持と、更に天然染料の扱いや、糸練り等に独自の工夫、創意を凝らしていった。
生糸のセリシン(膠質)を適当に処理して絹糸にふくらみを持たせ、光沢のある生地に仕上げる絹糸処理の特許許可を二件取得する。
経糸に練糸、緯糸に無撚りの糸を数本に引き揃えた濡緯を打ち込む、緻密な伝統技術に熟達した。さらに、植物染料による染色にも精通し、織りの精緻さでは右に出る者がいないと評された。
昭和45年(1970)1月17日没。
生涯、よりよき作品の完成に全生活を打ち込んだ真摯な努力を重ねた。
経歴
明治35年(1902) 7月10日 | 宮城県仙台市に生まれる。 |
大正3年(1914) | — 第一次世界大戦が始まる — |
大正7年(1918) | — 終戦 — |
大正9年(1920) | 東京府立八王子織染工業学校専門科を卒業。 |
大正12年(1923) | 甲田機業場を継承 |
昭和3年(1928) 10月 | 東京国産振興大博覧會 一等賞 金牌受賞 |
昭和3年(1928) 10月 | 東北産業博覧會 二等賞 銀牌受賞 |
昭和3年(1928) 11月 | 京都大博覧會 一等賞 金牌受賞 |
昭和11年(1936) 8月 | 東北北海道工藝競技展覧会 二等賞受賞 |
昭和14年(1939) | — 第二次世界大戦始まる — |
昭和20年(1945) 7月10日 | - 仙台空襲 — |
昭和20年(1945) 8月15日 | — 終戦 — |
昭和23年(1948) | 天皇陛下拝謁 蚕糸功労者受賞 |
昭和25年(1950) | 皇太后陛下献上 |
昭和24年(1949) 10月 | 中小企業振興展示會 長官賞受賞 |
昭和26年(1951) 1月 | 宮城懸中小企業技術振興展覧會 局長賞受賞 |
昭和26年(1951) | 太平洋市長會議に於てアメリカ各市長え贈る |
昭和26年(1951) | 仙台機業協同組合理事長に就任 |
昭和30年(1955) | 天皇陛下献上(宮城県) 植樹式 |
昭和30年(1955)4月 | 皇后陛下献上(宮城県) 植樹式 |
昭和30年(1955)4月 | 昭和三十年度工業振興祭 市長賞受賞 |
昭和30年(1955)10月5日 | 秩父宮妃殿下献上(宮城県) |
昭和31年(1956) 4月24日 | 重要無形文化財保持者として認定される。 |
昭和31年(1956)頃 | 植物染色を応用した絹糸処理法の特許を二件取得 |
昭和31年(1956) | 第3回 日本伝統工芸展入選 |
昭和32年(1957) | 第4回 日本伝統工芸展 袴入選 |
昭和33年(1958) | 袴地「仙霊の滝」制作 |
昭和33年(1958) | 袴地「妙曲」制作 |
昭和33年(1958) | 袴地「寿楽」制作 |
昭和33年(1958) | 第5回日本伝統工芸展 袴地「竜雲」入選 |
昭和34年(1959)4月10日 | 皇太子殿下御成婚を祝し、袴地「千代乃光」献上 |
昭和34年(1959) | 第6回日本伝統工芸展 袴地入選 |
昭和34年(1959) | 袴地「風雅」制作 |
昭和34年頃 | 日本工芸会 正会員 |
昭和35年(1960) | 第7回日本伝統工芸展 袴地「黄玉」入選 |
昭和36年(1961) | 袴地「松濤」制作 |
昭和36年(1961) | 第8回日本伝統工芸展 袴地「宝樹」入選 |
昭和37年(1962) | 第9回日本伝統工芸展 袴地「叢雲」入選 |
昭和37年(1962) | 袴地「八光」制作 |
昭和38年(1963) | 袴地「利久」制作 |
昭和38年(1963) | 第10回日本伝統工芸展 袴地「光悦」入選 |
昭和39年(1964) | 第11回日本伝統工芸展 袴地「雅楽」入選 |
昭和40年(1965) | 袴地「典妙」制作 |
昭和40年(1965) | 第12回日本伝統工芸展 袴地「霊泉」入選 |
昭和41年(1966) | 第13回日本伝統工芸展 袴地「永楽」入選 |
昭和42年( 1967) | 第14回日本伝統工芸展 袴地「正元」入選 |
昭和43年(1968) 8月 | 第14回宮城県工業展 無審査 |
昭和43年(1968) | 袴地「天祥」制作 |
昭和43年(1968) | 第15回日本伝統工芸展 袴地「永祥」入選 |
昭和43年(1968) 11月16日 | 紫綬褒章を受章 |
昭和44年(1969) | 第16回日本伝統工芸展 袴地「神世」入選 |
昭和46年(1971)11月30日 | 礼宮文仁殿下御買上 |
昭和30年~44年 | 袴地「飛翔」制作 |
昭和30年~44年 | 袴地「瑞蒼」制作 |
昭和30年~44年 | 袴地「飛鳳」制作 |
昭和30年~44年 | 袴地「八光」制作 |
昭和45年(1970) 1月17日 | 永眠 |
昭和45年(1970) 1月17日 | 勲四等旭日小綬章を受章 |